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大日本帝国最大の要塞跡に行ってみた

圧巻の軍事近代遺産「由良要塞」

一度は訪れたい無人島・友ヶ島

友ヶ島第四砲台とともに高所に置かれ、榴弾砲を備えた友ヶ島第三砲台の掩蔽部。扉や窓の蝶番が欠損しているのは、戦後金属の略奪にあったため

 大阪圏でもっとも訪れやすい要塞で、深山第二砲台跡など国民休暇村が建てられなじみ深い。公園化が進む加太・深山地区は見やすくて良いが、4地区のなかで見応えの点で勧めたいのは友ヶ島だ。全周6・5キロほどの無人島で、無用に荒らされず良好な状態が保たれている。

 榴弾砲(りゅうだんぽう)が置かれたもっともメジャーな第三砲台、断崖へ豪快に崩れ落ちそうな第二砲台、静寂に包まれた第四砲台など、見せる姿の違いも感興をそそる。鉄の掩蓋が残された友ヶ島第一砲台の観測所や、そのそばに建つ明治5年点灯の友ヶ島灯台といった第一級の非軍事近代遺産もある。

 ちなみに島内の砲台はその価値が認められて「土木学会選奨土木遺産」に認定され、明治の最先端技術を結集した貴重な文化財のお墨付きを得た。
 終戦まで民間人が足を踏み入れなかったこともあって、亜熱帯植物が茂る緑のなかで、点在する砲台施設をめぐることができる。神奈川県横須賀の猿島のように、行楽を兼ねて気軽に行ってみたい。

友ヶ島へは南海加太線加太駅から徒歩20分、加太港から友ヶ島航路で20分。1日2~6便(季節により変動あり)、往復2000円。友ヶ島汽船 http://tomogashimakisen.com/

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飯田 則夫

いいだ のりお

昭和37(1962)年、茨城県生まれ。大学卒業後、システムエンジニア、編集プロダクション勤務などを経て、フリーランスライターとして独立。「予科練」など旧海軍航空隊が身近な環境で育ったことから、近代日本の足跡を知る歴史素材として、学生時代より旧軍史跡に興味を持ち、各地を探索してきた。

著書に『図説 日本の軍事遺跡』(ふくろうの本)、『TOKYO軍事遺跡』(交通新聞社)、『大日本帝国の戦争遺跡』(KKベストセラーズ)などがある。


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